アウトリーチ活動
参加者の心にこちらの想いを伝えるには、ライブコンサートと同じ。
実演する側と参加する側が作り上げる一期一会の時空間。
世代を繋ぐダイヤモンドのような貴重な体験と考えています。
西村昭彦
8月3日(土) 14:00~15:00
TSURUGA BOOKS&COMMONS ちえなみき 2階 セミナー&スタディにて、小学生とその保護者を対象に
虹はどのようにして生まれるのかをテーマに講演と実験を行いました。
答えは理科だけに限らず、次第に深く広く心の在り方に繋がってゆきます。
イベントでは、屈折、干渉、回折、偏光の4つから虹を説明しました。
虹の実験は、
・ビー玉による虹(屈折)
・水プリズムが作る虹(屈折)
・偏光板2枚によるセロハンテープの作る虹(偏光)
・回折格子がつくる虹(虹シート)
以上の4つを行いました。
次に、ちえなみきの書棚にある光と虹に関する書籍を店内で探す企画を行いました。
あらかじめ栞を挟んでおいた10冊の本の書名を参加者に示し、本を持ってくるようにお願いします。
栞の裏側には和歌を分解した言葉を書いておきます。
栞が全部揃うと、言葉が全部組み合わさり和歌が完成することになります。
和歌は、俵万智さんの「畑よりくっきり虹が生えている虹の根本を掘りにいこうか」としました。
https://tankanokoto.com/2020/10/mirai.html
それぞれの栞の裏には
「畑より」「くっきり」「虹が」「生えている」「虹の」「根本を」「掘りに」「いこうか」
というように言葉を書いておきました。
本を探した後にアンケートを行い、虹を創るカードとビー玉を記念品としてプレゼントしました。
茨城高専ロボット部にて実験を交えながら、 「エネルギーとは何か」 「自然界のエネルギーの壮大さ」 について講演が行われました。
Powers of Ten日本語訳
https://www.youtube.com/watch?v=paCGES4xpro
今回の講演はPowers of Tenという9分ほどの映画に着想を得ています。
タイトルのPowerは力ではなく、べき乗という意味です。
冒頭に1平方メートルの視野を設定し、その視野の長さを10倍・100倍と増加させた後に、減少させて、極大の宇宙から極小の素粒子の世界を旅する科学映画です。
公園での昼食を終えた男女が映し出され、カメラは男女の姿を垂直に見下ろしています。
カメラが上空へ上昇し、公園の全景になり、アメリカ、地球、太陽系、銀河系、光を観測できない地点まで上昇していきます。
上昇方向の動きが止まり、カメラは5倍のスピードで公園の男女に戻ってきます。
ふたたびスピードをゆるめ、カメラは男性の手の甲に近づいていき、皮膚組織、毛細血管、白血球、細胞核、DNA、タンパク質、炭素原子、原子核、陽子にどんどん近づいていき、フェードアウトします。
積みあがった壮大なスケールの世界を超光速で旅することは、感動とともに畏怖の念を感じずにはいられません。
講演の「まほろば実験教室」では、距離をテーマとした古典的名作であるPowers of Tenをお手本として、エネルギーを対象としたPowers of Tenが語られました。
10のべき乗で表現したエネルギーの表を使い、上限を超新星爆発、下限を可視光(500nm)の光子1個を観測する事と定め、人間の活動と比較しました。
最初は超新星爆発の際のエネルギーです。これは10の48乗という恐るべきエネルギー量です。
世界初の超新星爆発が実証されたのは、鎌倉時代初期の歌人である藤原定家が記した明月記を、日本のアマチュア天文家が英文で世界に紹介した事がきっかけでした。
年老いた赤色巨星が燃え残った元素を一瞬に核融合させて、鉄より重いウランに至る重元素が合成されるのです。
超新星爆発から段階的にエネルギー量を小さく見てゆくと、例えば、太陽が1秒間活動すること、世界人口が1日活動すること、東海・東南海・南海地震が同時発生すること、ビキニ環礁で最大規模の水爆実験を行うこと、原子力発電所が1日稼動すること、成人男子が1日活動すること、飛んでいる蚊がぶつかること、6等星の星を1秒間見つめること、可視光(500nm)の光子1個を観測すること、のようにエネルギーは極小となっていきます。
6等星は人間が眼で見える最も暗い星がであり、この星を1秒間見つめる間に約1万個の光子のエネルギーが瞳を通過します。
網膜の上でロドプシンが反応し視神経を通じて星が知覚されます。これが、人間が知覚できるエネルギーの下限です。
加えて、エネルギーの単位でにもなったジェイムス・ジュール氏についてや、元素の周期表を用いた解説、量子について、エネルギーの形態と利用方法を説明したのち、放射線計測実験とウランガラス放電実験を行いました。
GMサーベイメーターを使って日本地図の上を探っています。地図の裏にはウラン鉱石が仕込んであります。ここでは大きな地震があった地域にウラン鉱石を仕込むことで、生徒たちは「何故、ここで放射線が検出されるのか?」という問いを考えることになります。
ウランをガラスに溶かし込んだウランガラスは170年前に、放電実験と組み合わせて不思議な美しい魅力的な実験が行われました。この写真はガシオットが行ったウランガラス放電実験の様子です。